太平洋戦争が悪化する中で、名古屋市の旧制愛知一中で、約700名の若者が一斉に海軍予科練へ志願したという実話をドラマ化したものです。
反戦を強く打ち出した番組が多い中、ある意味NHKらしいというか、また違った視点から戦争について私たちに問いかけてくるドラマでした。
若者たちが自らの戦闘意欲を掻き立てている一方で、親や教師といった大人たちがそれに対して苦悩するというコントラスト。
「人は何のために生きるのか」を常に思考していた文学青年は、兵士となり散っていくことにその答えを見出す。
だが、その文学青年が残した遺書には、親友に対する情愛と、戦争を嫌悪する思いが綴られていた。
そういえば、日本には神風特攻隊といういうものもありました。
戦争を知らない多くの現代日本人の中には、彼らは何て馬鹿な奴らだったのたろう、と考える人も多いでしょう。
しかし私は、あの時代、多くの若者たちが兵士となって死んでいくことを美徳と考えていたことは、やむおえなかったことだろうと思います。
そして、そういう日本人の若者たちの心理は、もしかしたら昔も今も変わっていないのではないかと思うのです。
なぜならば、ヒーロー物のテレビアニメが非常に流行っているからです。
あれらは戦争映画の現代版と言って良いと私は思います。
反戦、反戦と言われている日本社会の中で、なぜ自分の命を掛けて敵と戦うあのようなアニメが流行るのでしょうか。
実は、私も子供時代には、自分がウルトラセブンになって悪い宇宙人や怪獣と戦う姿に憧れていました。
地球人同士で殺し合いはしたくないが、地球を征服しようとしている悪い宇宙人となら戦える、という思考が子供の私にはあったのです。
外国と戦争になっても自分は戦場へは行きたくないと言う今の日本の若者たちも、もし戦う相手が宇宙人だったらどうなのだろうか? と私は考えます。
今と違って情報が閉ざされていたあの時代の日本人にとって、外国人は皆、得体のしれない宇宙人のように見えていたかもしれません。
こっちがやらなければ、エイリアンたちに皆殺しにされてしまう。だから、決して戦争が好きなわけではないが、民族を滅ぼさないために戦わなければならないのだ、というような強い人間愛と使命感が彼らにはあったのではないでしょうか。
純粋無垢であった彼らは、過去の教訓として私たちに様々なことを教えてくれているヒーローであったと私は評価したいと思います。
ヒーローたちの死を、私たちは無駄にしてはならない。
今こそ私たちは、彼らが歴史の中で語ってくれた教訓を生かして、戦争のない世の中を創らなければいけないのだと思います。
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