そこで今日は、大地震に対する備えについて考えてみます。
海岸付近に住んでいる人は、避難できる高台がどこにあるのかを確認しておくことはもはや常識中の常識でしょう。
大阪府の予想でも、南海トラフ大地震による府内の死者の99%が「津波」によるものと想定されています。
2011年の東日本大震災は巨大なものでしたが、その大きな被害は津波と原発事故によるものであり、日本の建築物のほとんどは耐震構造になっているため、地盤の揺れそのものによる建物の倒壊は少なかったと言えます。
したがって、津波区域以外の場所に住んでいる人は、日頃の基本的な備えと、地震が起きた時に落ち着いて行動さえすれば恐れる必要は無いと思います。
東日本大震災の時、私の住む関東の内陸部では、建物の倒壊や火災はほとんどありませんでしたが、ライフラインの停止が一時的に起きました。
鉄道が停止し、多くの帰宅困難者が出ました。携帯電話が使用できなくなったため、公衆電話に帰宅困難者の長蛇の列が出来ました。
地域により約半日の停電が起きました。電気で水を浄化槽まで組み上げて各戸に供給されている共同住宅等の水道はその時間使用できませんでした。また、固定電話も利用できませんでした。
地震の直後、多くの人々がスーパーやコンビニに殺到し、米やパン、保存食品(カップ麺、缶詰め、冷凍食品など)、そして単1の乾電池(懐中電灯用、単1は普段在庫が少ないため)などが一時的に店舗から無くなりました。しかし、食料品は3日後には店舗に並ぶようになり、一か月後にはカップ麺などが在庫過剰となり値引き販売が始まりました。
ガソリンスタンドには給油のための車が殺到して売切れになり、一週間ぐらい休業になりました。一週間後にはガソリンスタンドは何もなかったかのように営業を再開していました。
したがって、物資の不足については、ほとんど人々の心理的パニックが起こした人災です。
しかし、このような時に海外では略奪が起きますから、日本人はちゃんとお金を持ってスーパーへ駆けつけるだけ冷静で精神性の高い民族であると言えるでしょう。
ただ、最も被害を受けるのは買い出しに行けない高齢者や身障者といった弱者です。地域ぐるみでの助け合いが必要です。
以上のような東日本大震災の教訓を踏まえて、南海トラフ地震がそれよりも人口が集中している地区(中部・近畿地区)を直撃することも考慮すると、事前の備えとしては次のようになるでしょう。
・3日分程度の飲用水と1週間分程度の食糧、消火器を確保しておくこと。
・車のガソリンは、普段からある程度の量を入れておくこと。
・自宅用と外出用にLED懐中電灯を備えておくこと。外出用は100円ショップで売っている携帯用で十分です。
・外出する際はテレホンカードを持参すること。携帯が通じない時に公衆電話に人が並びますが、テレホンカード専用の公衆電話が比較的空いています。
・帰宅困難になった場合に宿泊させてもらえる場所の確保。ビジネスホテルはすぐに満員になります。宿泊場所が無い人には学校の体育館など公共施設が開放されますので、焦らないようにしましょう。
・高齢者や身障者が扶養家族にいる場合、連絡方法についての備え。
大地震に直面したそのとき
・津波が予想される区域では車で移動しないこと。
・築年数の古い建物からは避難する必要があります。窓ガラスが割れて落ちてくることがあるので、外へ出た時にはなるべく建物の真下にはいないほうが良いです。
・津波区域外での車の中は比較的安全と思われますが、大都市部では渋滞して立ち往生する可能性があります。
・その日は電車が走らないと考えるべきです。どうしても帰宅しなければならない場合には、なるべくタクシーが多く出入りしている駅前まで歩いて行く必要があります。この場合には数時間は並んで待つ覚悟が必要です。
(やしろたかひろ)

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