ミュージカル「レ・ミゼラブル」をDVDで観ました。
フィクションなので奇想天外なシーンも含まれますが、人間の感情をこれほどまでにダイナミックに表現したドラマはないでしょう。
あらすじ
ジャン・バルジャンは、飢えた子どものために一切れのパンを盗んだ罪で19年間服役した後、仮出獄するが、生活に行き詰まり、再び盗みを働いてしまう。
その罪を見逃し赦してくれた司教の真心に触れた彼は、 身も心も生まれ変わろうと決意し、過去を捨て、市長となるまでの人物になった。
そんな折、不思議な運命の糸で結ばれた女性ファンテーヌと出会い、彼女から愛娘コゼットの未来を託されたバルジャンは、警部・ジャベールの追跡をかわしてパリに逃亡。彼女に限りない愛を注ぎ、父親として美しい娘に育てあげる。
しかし、パリの下町で革命を志す学生たちが蜂起する事件が勃発し、それに巻き込まれていく。
タイトル「レ・ミゼラブル」の意味は「悲惨な人々」ですが、私は「真実の愛を見つける人々」としたほうがこのストーリーにはぴったりのように感じます。
パンを盗み、服役囚となった主人公のバルジャン。
逃亡したバルジャンを執拗に追い続けるジャベール。
町工場を解雇されて娼婦となる貧しい女・ファンテーヌ。
ファンテーヌの娘でバルジャンに引き取られるコゼット。
格差と貧困にあえぐ民衆の中から革命を起こそうと蜂起する若者たち・・・
主たる登場人物のすべてが、それぞれに孤独と絶望の中で生きています。
そして、ストーリーの途中で多くの者が命を失います。
善と悪、愛と憎、自由と拘束、生と死という、人間が生きていれば誰でもが経験する対極の事象が実に象徴的に描かれており、視聴していて途中までは人生というものの無情さを強く感じさせます。
しかし、ストーリーのエンディングではそれら対極のものが、すべて「真実の愛」というひとつのものに美しく融合され、大きな感動を呼ぶのです。
この物語で、人間の死を描くシーンに不思議な安堵感を覚えるのはなぜでしょうか。
死とは決して破滅ではなく、ひとつの完成を意味するのです。
釈迦は、「人生とは苦である」と説きました。
苦の先にある尊いものに出会うことこそが、人生という旅の目的なのです。
壮絶な人生ほど美しい。
※映画『レ・ミゼラブル』公式サイト
http://www.lesmiserables-movie.jp/(やしろたかひろ)
posted by takahiro at 10:09|
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